医療の現場では様々な問題が起きる。
例えば、救急搬送されてきた患者が複数いた場合、誰から処置をすべきかが問題となるケースがある。極めて明白に重篤な者と軽度の負傷者が搬送されてきた場合には、重篤な者から処置をすべきということは判断がしやすい。
しかし、同程度の負傷を患者が負っている場合、いずれの者を優先して処置すべきかは非常に悩ましい問題である。このような医療の現場において、看護師はどのような判断をすべきかの価値観が問われる。
そもそも、処置をする主体はあくまでも医師である。しかし、医師が処置をする患者を選定するのは看護師の役割とされている場合も多い。そのため、現場において、看護師が命を左右する場面もあるのだ。
では、どのように患者の処置をする優先順位を選択すべきであろうか。
本来、同程度の負傷をしている患者がいる場合、優先順位はつけられない。しかし、実際には処置をする順位を決めなくてはならない場合が多い。
ここで重要なのは、救命できる可能性を尊重するか、それ以外の事情も考えるべきかだろう。例えば、重症をおっている乳幼児がいたとする。それと同時に、高齢の男性が同程度の負傷をしている場合で、しかも現在救命できる可能性としては男性の方が僅かばかり高かったとする。
この場合に本当に男性から処置をすべきかは非常に悩ましい問題だと言える。命の価値に差はない。しかし、救命できる可能性のみならず、その他の事情も考慮して妥当な結論を導き出せる価値観が看護師には要求されるのだ。
そう考えると、看護師は大変重い責任が課せられていると言わざるをえない。